自然科学書出版  近未来社
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群発する崩壊 −花崗岩と火砕流−
Myriad debris avalanches
weathering and landslide of granite and ignimbrite
A5判上製・228頁 定価 3,300円(税込)
ISBN978-4-906431-15-1〔初版発行日/2002.8.31〕
 〈近未来科学ライブラリー・シリーズ Vol. 9〉
Key Words  花崗岩類の風化と崩壊・マイクロシーティング・急速再風化と崩壊・花崗
岩類の球状風化・火砕流凝灰岩と崩壊・1998年福島県南部豪雨災害

From the text
 崩壊が一度に数多く発生する−つまり群発する−ということは,「広い範囲に共通するような『崩壊しやすい条件』がある」ということを示している。花崗岩分布地が隣接する他の岩石分布地と同じような降雨を受けて崩壊を多発したのに,もう一方の岩石分布地にはほとんど崩壊が起こらなかった,ということはしばしば経験したことである。火砕流凝灰岩の地域も同様である。特に近年の被災地域で地質を詳細に調べてみると,崩壊の群発した地域の地質には,やはり,崩壊しやすい条件が整えられていたことが具体的にわかってきた。また,この条件の最も重要なものは岩石の風化によって作り出されていることも次第に明確になってきた。
 本書は,私が1997年に京都大学防災研究所に移ってから,私と私の研究室の学生たちが行った研究を中心にしてとりまとめたものである。書き方のスタイルは前著『風化と崩壊』と同様で,学術論文的な書き方ではなく,研究をした順番や,面白かったこと,大変だったこと,などをできるだけ書くようにした。論理の流れというよりも,気持ちの流れを大切にした。ただ,一部では全体像を理解していただくために,かなり教科書的な書き方になったことを了解していただきたい。

 まえがき

第1章> 岩石の形成過程と消滅過程

<第2章> 花崗岩類の風化と崩壊

 花崗岩類地域の斜面崩壊
 花崗岩類の種類と風化のしかた
 岩盤分類
 群発崩壊は花崗閃緑岩よりも花崗岩−1972年西三河災害
  ・地質と地形の概要
  ・崩壊 
  ・研究対象の捉え方 
  ・図表表現と写真表現
 広島県の豪雨災害
  ・1999年広島災害
  ・降雨の概要
  ・土砂災害の概要
  ・地質と地形の概要
  ・崩壊の特徴
    亀山地区
 低い浸透能と滑り台
    小深川周辺地区
    東町地区(呉市)
  ・ルートマップとレーザー距離計
  ・崩壊のタイプ
 他の花崗岩類地域の豪雨災害
 降雨と崩壊
  ・土壌雨量指数
  ・風化帯とタンク

<第3章> 花崗岩類のマイクロシーティング
 マイクロシーティングとは
 広島の事例
  ・西風新都
  ・荒谷川
  ・己斐峠
  ・マイクロシーティングの構造
 信仰と科学
 その他の地域
  ・山口の事例
  ・阿武隈の事例
  ・飯田市松川の事例
 シーティング
 成因は花崗岩類の成因自体にありそうだ
 鍵になる内容は学術論文に
 マイクロシーティングと崩壊のメカニズム

<第4章> 深層風化花崗岩類の急速再風化
 深層風化
 自然の中に宝探しにでかけよう
 急速再風化と崩壊
 風化花崗岩の12年間の急速再風化
 表層緩み帯内の降雨浸透
 風化と崩壊のメカニズム

<第5章> 花崗岩類の球状風化
 球状風化とは
 柳生花崗岩(花崗閃緑岩)の球状風化
  ・物理的性質の変化
  ・鉱物の変化
  ・化学的変化
  ・球状風化はどうやって起こった?
 花崗岩がマサになると体積は1.5倍になる?
 久井の岩海 ―コアストンの海 ―

第6章> 球状風化とマイクロシーティング
 球状風化の殻の有無
 球状風化とマイクロシーティング

<第7章> 火砕流凝灰岩と崩壊
 火砕流とは
 シラス災害

<第8章> 非溶結火砕流凝灰岩の風化と崩壊
 研究の開始
 シラスの風化帯区分
 野外でしか証明できないこと
 粘土バンド
 教員の一言
 物理的性質の変化
 粘土鉱物と風化フロントの明瞭さ
 風化帯内の降雨浸透過程の観測
 風化,崩壊,放射性廃棄物処分の関係
 フロントの移動と崩壊の免疫性
 支笏火砕流
 洞爺火砕流
 飯田火砕流
 2000年神津島災害 
 第一印象と調査のまとめ
 再び神津島

<第9章> 1998年福島県南部豪雨災害
 災害の概要
 地形と地質
  ・地質からみた崩壊のタイプ
  ・弱溶結凝灰岩の上に載る降下火砕物の崩壊
  ・弱溶結凝灰岩の強風化物および二次堆積物の崩壊
  ・谷埋堆積物の崩壊

<第10章> 気相晶出固化した火砕流凝灰岩の風化と崩壊
 気相晶出作用
 風化帯の区分
 現地での試験
 野外で手書きのグラフを書くこと
 風化による物理的性質の変化
 鉱物組成と岩石構造の変化
 化学成分の増減
 風化帯の特徴のまとめと風化のメカニズム
 風化帯構造と崩壊の発生
 他の火砕流
  ・由布川火砕流
  ・支笏火砕流

 あとがき
 参考文献

【著者略歴】
千木良 雅弘 (ちぎら まさひろ)
1955年
1978年
1980年
1981年〜1997年
1997年〜2020年


2020年3月

2020年4月
2020年7月〜
群馬県生まれ
東京大学理学部卒業,
同大学院修士課程修了,
(財)電力中央研究所勤務.
京都大学防災研究所(地盤災害部門・山地災害環境研究分野)教授,京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻教員を兼ねる.
京都大学防災研究所(地盤災害部門・山地災害環境研究分野)を定年退官
公益財団法人 深田地質研究所 常勤理事に就任.
公益財団法人 深田地質研究所 代表理事・理事長に就任.
現在に至る。
平成22年度〜平成25年度 日本応用地質学会 会長を歴任.

専 攻 応用地質学
(論文) 「岩盤クリープによる岩石の長期的重力変形」により1987年理学博士(東京大学)他論文多数
(受賞) ○「結晶片岩の岩盤クリープ(その1,2)」により1986年に日本応用地質学会学会賞を受賞
○「泥岩の化学的風化−新潟県更新統灰爪層の例−」により1989年に日本地質学会研究奨励賞を受賞
○深層崩壊の準備過程と発生場所予測に関する研究により,平成29年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞
著 書 『風化と崩壊』(1995年,近未来社)
『災害地質学入門』(1998年,近未来社)−改題新版により絶版
『群発する崩壊』(2002年,近未来社)
『崩壊の場所』(2007年,近未来社)
『深層崩壊』(2013年,近未来社)
『写真に見る 地質と災害』(2016年,近未来社)
『災害地質学ノート』(2018年,近未来社)
共 書 島崎英彦,新藤静男,吉田鎮男編『放射性廃棄物と地質科学−地層処分の現状と課題−』(1995年,東京大学出版会,共著)



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