自然科学書出版  近未来社
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地質・砂防・土木技術者/研究者のための
土砂流出現象と土砂害対策
菊判(並製)・420頁 定価 4,191円(税込)
ISBN978-4-906431-24-0〔初版発行日/2006.4.8〕
 〈ニューフィールドサイエンス・シリーズ Vol. 3〉
Key Words  土砂流出の実態と予測・斜面部における土砂移動の素過程・流路における
土砂移動の素過程・土砂流出予測・貯水池・流砂系の総合土砂管理

From the text
 土砂流出は自然現象です。人類の多くが生活している場は河川の氾濫原であり,長年にわたる土砂流出の結果として生み出されたものです。地球上における人類の隆盛は土砂流出現象無しではほとんど成り立たなかったかも知れません。人間は土砂流出と共存しなければなりません。人間は土砂流出システムの中で生活していますから,土砂流出システムの均衡が破れると害を受けます。現在では過度の開発によって従来緩衝地帯として機能していた部分がなくなり,システムのバランスが危うい状況になっています。システムを構成する要因の僅かな変動によっても害が発生するようになっていますから,害を最小限にする何らかの手立ては当然必要です。一方,人間が土砂流出システムに介在してシステムの均衡を破壊することは極力避けねばなりません。土砂流出システムとの共存を図るためには,システムに内在する数々の現象の機構(素過程)に精通し,システムの均衡ある制御・管理を可能にしなければなりません。本書では,土砂流出システムの構成,その素過程の機構と評価,システムシミュレーションおよ びシステムの管理について論じたいと思います。もちろん,システムの全貌は複雑・多彩であり,全てを網羅的かつ詳細に論ずることは不可能であり,著者らが行ってきた研究を中心とする議論になることを断っておきたいと思います。

 まえがき

第1章> 土砂流出の実態と予測への道筋
 1.1 土砂流出の実態
  1.1.1 土砂流出度の概念からみた平均的土砂流出の実態
  1.1.2 年流出土砂量の経年的変動特性とその支配要因
  1.1.3 豪雨時土砂流出の実態
  1.1.4 渓流における洪水時土砂流出の観測研究
 1.2 土砂流出システムの構成と流出土砂量予測へのアプローチ
 1.3 集中型モデルによる土砂流出の予測(1.5世代モデル)
  1.3.1 モデルの構築
  1.3.2 モデルの検証と考察

第2章> 斜面部における土砂移動の素過程(1)
−崩壊および裸地斜面侵食
 2.1 土砂運動の分類およびその防災学的意義
  2.1.1 土砂運動の分類
  2.1.2 種々の土砂集合運動の防災学的意義
 2.2 崩壊
  2.2.1 豪雨時表層崩壊
  2.2.2 地震時表層崩壊
  2.2.3 大規模崩壊
  2.2.4 土石なだれ
 2.3 裸地斜面の侵食
  2.3.1 実態観測
  2.3.2 侵食量予測の方法

第3章> 斜面部における土砂移動の素過程(2)
−火砕流および雪崩−
 3.1 火砕流
  3.1.1 火砕流とはなにか
  3.1.2 雲仙普賢岳で明らかになった火砕流の特性
  3.1.3 メラピ型火砕流のモデル
  3.1.4 粒子流段階
  3.1.5 流動化流れ段階
  3.1.6 メラピ型火砕流のシミュレーション法
  3.1.7 雲仙普賢岳火砕流の復元計算
 3.2 雪崩
  3.2.1 雪崩の分類と予測モデルの考え方
  3.2.2 雪崩の粒子流としての流動機構
  3.2.3 雪崩による侵食および堆積
  3.2.4 平面二次元流としての流動・堆積シミュレーション

<第4章> 流路における土砂移動の素過程(1)
−土石流とその対策−
 4.1 土石流の流動機構モデル
  4.1.1 土石流の定義および流動機構に基づく分類
  4.1.2 混合体モデルによる土石流の流動則
 4.2 土石流の発生機構と規模予測
  4.2.1 発生機構
  4.2.2 規模予測
 4.3 土石流の調節・制御
  4.3.1 土石流調節についての考え方
  4.3.2 横堤群による土石流の調節
  4.3.3 底面水抜きスクリーン
 4.4 土石流災害予測と土砂災害防止法
  4.4.1 災害予測の方法
  4.4.2 土砂災害防止法における土石流の取り扱い

第5章> 流路における土砂移動の素過程(2)
−各個運搬と流路の変動−
 5.1 土砂の流送形態および河床・河道形態
  5.1.1 土砂移動形態の分類
  5.1.2 河床および河道の形態
 5.2 山地河川の抵抗と掃流砂量式
  5.2.1 急勾配流れの抵抗
  5.2.2 急勾配流れにおける砂礫の限界掃流力
  5.2.3 山地河川を対象とした掃流砂量式
 5.3 非平衡流砂と河床変動
  5.3.1 混合砂礫床における侵食・堆積速度式
  5.3.2 混合砂礫床における一次元的な河床変動解析
 5.4 網状流路の形成と流砂量の変動
  5.4.1 網状流路の流路変動と流砂量変動の特性
  5.4.2 一次元モデルによる網状流路パターンおよび土砂輸送の予測
  5.4.3 二次元モデルによる網状流路の変動予測

第6章>  プロセスモデルによる土砂流出予測
 6.1 土砂流出プロセスに準拠した流出予測モデルの考え方
  6.1.1 予測目標は期間平均流出土砂量か時々刻々の流出土砂量か
  6.1.2 どのような現象を考慮するのか
  6.1.3 SHETRAN
  6.1.4 物理モデルの現状
  6.1.5 高橋・中川(1989)のモデル
 6.2 山岳流域における土砂流出モデル(SERMOW)
  6.2.1 モデル構築経過の概要
  6.2.2 SERMOWの構成
  6.2.3 高瀬ダム流域への適用(その1)
  6.2.4 高瀬ダム流域への適用(その2)
  6.2.5 融雪期洪水への適用

第7章> 貯水池の堆砂および排砂
 7.1 わが国における貯水池堆砂の実態
  7.1.1 堆砂状況の地域的特徴
  7.1.2 堆砂形状と堆砂内粒度分布の実態
 7.2 堆砂形状および堆砂の粒度分布の予測
  7.2.1 実験による検討
  7.2.2 混合粒径材料による堆砂過程に関する数値シミュレーション
 7.3 堆砂が貯水池機能に与える影響とその対策
  7.3.1 発電用貯水池の堆砂による機能障害
  7.3.2 既往の貯水池堆砂対策
  7.3.3 新しい貯水池排砂システムの試み(逆流排砂システム)

第8章> 流砂系の総合土砂管理
 8.1 土砂環境から見たわが国の河川と海岸の状況
  8.1.1 土砂環境の時代的変遷と現況
  8.1.2 いくつかの流砂系における状況
 8.2 流砂系の総合土砂管理の理念および総合土砂管理計画
  8.2.1 総合的土砂管理の理念
  8.2.2 総合土砂管理計画
 8.3 総合土砂管理を可能にする技術の開発
  8.3.1 流す砂防
  8.3.2 貯水池排砂の環境問題

 あとがき
 参考文献
 索 引

【著者略歴】
高橋 保 (たかはし たもつ)
 1939年京都市に生まれる.1963年京都大学工学部土木工学科卒業,1965年同大学院工学研究科土木工学専攻修了後,京都大学防災研究所助手,1967年同工学部講師,1968年同防災研究所助教授,1982年同教授,2003年同定年退職,京都大学名誉教授となり,財団法人防災研究協会理事に就任,現在に至る.
 1995年度から2年度にわたり,防災研究所長として,研究所の全面改組,阪神淡路大震災に関する研究所としての研究統括を行い,また,1987年度から文部省自然科学総合研究班の本部幹事,さらに,1993年から3年間は研究代表者として,わが国の災害科学研究の推進に尽力した。その間,数多くの学会の役員,委員会委員,国・地方の審議会・委員会の委員としても活躍した.

 研究面では,当初,河道における洪水流の特性に関する研究を行い,この研究で工学博士の学位を取得した.その後,1974年には1年間,ニュージーランドのリンカーン大学に滞在し,網状河川に関連する研究を行い,帰国後,土石流を中心とする土砂流出・土砂災害の研究に本格的に取り組むようになった.1982年防災研究所の耐水システム部門を担当することになって,従来の研究に加えて,都市域での洪水氾濫災害問題にも研究を拡げることになった.

 これらの研究の成果の一部について,多くの国際学会で招待講演,基調講演を行い,土木学会著作賞,砂防学会賞等が授与されている.論文,著書など多数がある.



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