自然科学書出版  近未来社
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深川昌弘 著
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大八木 規夫(深田地質研究所/特別研究員)著
〈増補版〉 地すべり地形の判読法
       −空中写真をどう読み解くか−
〔An enlarged edition〕Air-photograph interpretation
for analysis on landslide structures
B5判(並製)・368頁 定価 5,500円(税込)
ISBN978-4-906431-50-2〔初版発行日/2018.5.22〕
 〈防災科学技術ライブラリー・シリーズ Vol. 1〉
Key Words  地表面輪郭構造・地すべり構造・すべり面の推定・初期的変形地形・
空中写真の判読法・新潟県中越地震・荒砥沢地すべり・変成岩地すべり

From the text
 地すべり地形の判読も自然をより良く知ることの一環であると,私は考えています。それは,いいかえると,対象とするもの−ここでは地すべり−をより正しく,より深く知って,“しなやかに”地すべりに対応するための一道程(最も基礎的な)であると考えます。地すべり地形を観察する場合に大局を見失ってはいけません。しかし,同時に一見小さい事象でも大きな問題・変動に発展する前兆現象かもしれない場合があります。したがって,地すべり地形のちっぽけな変状と思われるようなものであっても,全体の中での,一つの構造体の中での位置づけを明確に理解することが必要です。本書の初版でも,この視点を貫いて記述しましたが,この増補版でも,この視点を踏襲しています。あるいは,さらに押し進めたつもりです。科学には終点はありません。地すべり地形の理解にも終点はないでしょう。より良く,より正確な地すべり地形の理解に一歩一歩進むのが最善ではないでしょうか。

 まえがき
 本書の刊行によせて(佐藤 正:元深田地質研究所理事長)

第1章> 地すべり地形とその構造
 1.1 はじめに
 1.2 地すべり地形とは
 1.3 地すべり構造
  1.3.1 地すべり構造の空間的問題
  1.3.2 地すべり構造の時間的問題
  1.3.3 構造体相互関係の問題
 1.4 地すべり地形を地すべり構造に基づいて平面図に表現する凡例
  1.4.1 輪郭構造の記号−その1−滑落崖と側方崖
  1.4.2 輪郭構造の記号−その2−移動体の輪郭
  1.4.3 内部構造およびその他の関連事項

第2章> 地表面輪郭構造の判読
 2.1 滑落崖を主テーマに
  2.1.1 滑落崖と側方崖の区別が明瞭(大沼地すべり)
  2.1.2 V字型の滑落崖(大平温泉東地すべり)
  2.1.3 ほぼ平板状の滑落崖(荒瀬川右岸地すべり)
  2.1.4 開析谷の入った滑落崖と側方崖(袴腰山西地すべり)
 2.2 側方崖・側方構造
  2.2.1 やや開析された馬蹄形の滑落崖・側方崖(小野岳北東地すべり)
  2.2.2 移動体の規模に比して滑落崖・側方崖が小さい例(福田西地すべり)
  2.2.3 滑落崖・側方崖の奪い合い?(猿倉森地すべり)
  2.2.4 鋭角に広がる側方崖をもつ大規模地すべり(鞍掛森南地すべり)

第3章> 移動体の輪郭構造と内部構造
 3.1 地表面輪郭構造と内部構造
  3.1.1 変位・変形の小さい例(鷲尾岳地すべり)
  3.1.2 変位・変形がやや大きい移動体(大沼地すべり−その2)
  3.1.3 川へ向かうラテラルスプレッド(大沢地すべり)
 3.2 移動体末端部と河川との関係−(1)末端部が河川に接している地すべり−
  3.2.1 大楚々木地すべり
 3.3 移動体末端部と河川との関係−(2)河床の下を潜っている“川越え地すべり”
  3.3.1 河川の氾濫原に押し出した地すべり(小林山地すべり)
  3.3.2 対岸段丘の削剥に関連した地すべり(谷地地すべり)
  3.3.3 ダムになった地すべり(亀の瀬地すべり)
  3.3.4 河川流路を何度も変遷させた地すべり(長者地すべり)

第4章> すべり面の推定と初期的変形地形
 4.1 流れ盤地すべり
  4.1.1 ケスタ地形における流れ盤すべり(五十谷地すべり)
  4.1.2 カルデラ湖成堆積物の巨大地すべり(桁倉沼地すべり)
 4.2 受け盤
  4.2.1 含炭凝灰岩層をすべり面とする地すべり(乙女地すべり)
  4.2.2 熱水変質帯の地すべり群(赤沢地すべり
 4.3 初期的変形地形/斜面
  4.3.1 御川・三ノ倉山一帯の尾根向き小崖群と地すべり群

第5章> 地震による地すべり − 2004年新潟県中越地震の事例−

 5.1 はじめに−新潟県中越地震の特徴
 5.2 中越地震による斜面災害主要域の広域的地形と地質構造の特徴
 5.3 中越地震により発生した地すべりのタイプ
 5.4 ダムを形成した地すべりの事例
  5.4.1 東竹沢地すべり
  5.4.2 寺野地すべり
 5.5 最大規模の地すべり
  5.5.1 大日山地すべり(塩谷神沢川地すべり)
  5.5.2 一ッ峰沢地すべり
 5.6 二つの地すべりの相互干渉
  5.6.1 池谷地すべり
  5.6.2 朝日山地すべり
 5.7 高粘性の楔形すべりと低粘性の岩屑なだれ
  5.7.1 野辺川左支地すべり
  5.7.2 塩谷北の谷地すべり

<第6章> 巨大スプレッドと変成岩地すべり
−最近10年の地すべりから−
 6.1 はじめに
 6.2 荒砥沢地すべり
 6.3 九州北部豪雨による変成岩地すべりの事例
  6.3.1 山坂地すべり
  6.3.2 乙石地すべり

 あとがき(増補版あとがき)
 引用文献
 空中写真一覧
 地形図一覧
 索 引

【著者略歴】
大八木 規夫
(おおやぎ のりお)
 1932年長崎市に生まれる.
 第二次大戦前は函館,戦中は釜山(韓国),戦後は日出(大分県)などを経て広島市・つくば市に長期間在住.1958年に広島大学理学部地学科を卒業,大学院を終了して1964年に論文「愛媛県佐々連鉱山周辺の三波川結晶片岩帯の構造岩石学的研究」により博士号を取得.同年,科学技術庁に新設間もない国立防災科学技術センター(現在の国立研究開発法人 防災科学技術研究所)に地表変動防災研究室研究員として入所.

 以来,地すべりの研究に従事した.1979年同研究室室長となり,空中写真判読に基づく縮尺1/50,000地すべり地形分布図の作成を計画,その第1集は地表変動防災研究室の研究員の協力により1982年に新庄・酒田(20万分の1)地域の21葉を出版.以後,同室研究室の研究員・主任研究員らにより出版が継続された.この間,1988年から第3研究部部長,防災総合研究部部長を務めるとともに,地すべり学会,応用地質学会,地形学連合などの委員として,また,国際地すべり研究会議(International Conference and Field Workshop on Landslides:ICFL)の創始者の一人としてその推進に尽力した.

 1992年から防災科学技術研究所客員研究員を勤めるとともに,公益財団法人 深田地質研究所の理事に就任,同年の第29回IGC(International Geological Congress)では地すべりのセッション2つを立ち上げ推進した.同所では,関連企業の技術指導を行うとともに,第三紀から更新世のカルデラと地すべりとの関係に関心を持ち研究を進めてきた.また,近年は大雨や地震によって発生する崩壊や地すべり性崩壊,とくにそれらの発生場の予測に向けた研究を進めている.2007年から同所客員研究員,2015年から同所特別研究員.2002年には「地すべり構造の研究」により地すべり学会論文賞を受賞.2003年勲四等瑞宝章を叙勲.日本応用地質学会名誉会員(2004年度),日本地質学会名誉会員(2012年度),日本地形学連合名誉会員(2017年度)。論文,著書多数.2020年2月27日ご逝去



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